芸術やファッションに限らず,イタリアとフランスというと工業製品のデザインセンスが光っている.そして女性が着用する下着に関しても,この2つのヨーロッパ中央部の国に対抗できるほどに評価されている国はないだろう.
デザインの発想は言うまでもなく,どうすれば女性の身体を美しく見せられるかを緻密に計算して製作されているのだ.日本の下着メーカーがどんなに模倣や改良を加えても,イタリアやフランス製の高級なブラジャーの足下にも及ばない.
どちらの国にも織物やレースの名産地があり,平面的な着物文化の日本と違って,立体的なドレス文化の歴史がある.3次元CADシステムもヨーロッパの航空機メーカーが開発してIBMが自社のハードウエアと組み合わせて普及した.そして何よりも女性を尊重して,賛美するなど根本的な発想に違いがあるからなのだろう.
イタリア製とフランス製,どちらも完成度の高い素晴らしい下着を製作するけれども,商品として眺めると対照的なものであったりもする.女性の下着ひとつにも日常生活における発想の差が出てしまうものであろう.
ところでフランス製の下着メーカーのブランドでは,レジャビー,オゥバドゥ,リズ・シャルメル,ラヴァージなどが有名である.
レースや配色も華やかで見た目もエロチックで大人向きであるが,女性にとって一番の魅力に感じられるのは,補整力によってが高さを出せるし,脇をすっきりさせて「ウェストがほっそりと痩せて見える」というような目の錯覚を起こしてくれる効果もあるようだ.
エアコンの普及で真冬でも薄着が全盛となっているが,女性にとってはある意味で憂うつな季節だったりするのだろうが,フランス製の高価なブラジャーはそんな女にとってまさに救世主的な道具となっているのかもしれない.
フランスはまずプロフィールの型があって,理想的な外形の中に身体をデフォルメして収容したうえで,より美しく見せるというのが基本的な考え方である.だからサイズの刻みもカップの刻みも細かく,その中から自分のプロフィールに適した形を探し出し,それにはめ込むという考え方なのである.
たとえば日本では高級ブラジャーとされている「シバリス」がある.この"シバリス"を身につけるとバストが美しく立ち上がり(補正効果),乳房の下半分のシャープさと上半分のまるい盛り上がりの対比がなんともいえない官能的なバスト曲線を作りあげるらしい.
ブラジャーの縫製は1個1個が手作りしているから,カップの立体的な形状は担当する職人さんによって癖があり,同じサイズでも一つとして同じカップ形状がないということであろう.
シバリスはバストの前半分は絶対に動かしてはいけない部分と,締めつけてはいけない場所をきちんと計算して製作しているから,整ったフォルムに仕上がり,それでいて快適さを与えているらしい.さらに着用を続けることによって,胸と乳房が理想の形に変形されていくのだろう.
しかしねぇ...,シバリスは着用するとかなり上半身に拘束感があるのだ.とくに背中のパワーネットなんて長時間着用してると,身体が変形に逆らっているために疲れが残ってしまうようだ.
だからある意味でシバリスは,"鉄の処女"(悪名高き拷問道具)とか女囚の女監視人(プロフィール・チェッカー)という着用感であろう.
しかし,女によっては非常な快感を感じる人もいるようで,要するに下着の拘束感と肉体の相性ということである.「着ける人を選ぶ」のが高価なブラジャーということでもある.だから腕の付け根に流れてしまう,ぽっこり脂肪が減少するだろうし,背中につきはじめていたお肉も消えることもあるだろう.
時おり,背中の脂肪部にブラジャーのアンダーサポートが食い込んでいる状態の女性を見かけるが,シバリスはこのような現象を防いでくれるアイテムとなるかも知れない.
シバリスの下着は初めはマイナーなブランドだったのが,一部の日本女性の間に"シバリス信仰"をもたらし,現在ではシバリスを置く高級下着専門店が増えているようである.日本でもブランドとして評価を確立しているからかなりの需要があるものとなっている.
しかし,本国フランスではどの程度のニーズがあるのだろうか?つまりはまるでコルセットの末裔みたいな下着を我慢して着用し続けるフランス女性って,やはりあのO嬢のDNAが生き残っているのだろうか.
日本で人気のあるフランスの高級下着ブランドとなっているシバリス(Sybaris:ブラジャー)は,1966年にムッシュとマダム・シバリタにより,フランスのリヨン市に設立された女性下着ブランドで,製品はアトリエ工房で丹念に作られているので,カット,縫製ともに作業者の手作業に負う工程が多く,多数の工程を経て1つ1つ製作されている.パット入りブラジャーは,理想的なお椀型をしたカップで高さのあるバストラインを作り出すものだが,なぜか日本市場においてベストセラーとなっている.商品のデザインはマダム・シバリタが担当し,素材の手配や商品の販売,輸出の責任者はムッシュ・シバリタという分担になっており,マダムの製品開発をムッシュが影で支えるシバリスという中小企業で,2人の"愛情物語"でもあるようだ.
これらが"修業好きのニッポン"女性に受け入れられ,シバリス・ブランドが支持されているのだから,女体を拘束感によって快感を与えようと思うのであれば,ひそかにサイズをチェックしてプレゼントしてみるのもいいのかもしれない.

