近ごろでは性風俗などというと,女体から快感を引き出す接触部位として,まず第一にクリトリス(陰核)を性感における「打ち出の小槌」として重点的に接触して刺激する行為が流行しているらしい.
AV動画によるSexマニュアルの教育効果によって,女体のスリットに触れて刺激すると女は興奮すると思いこんでいる中高生が多いようだ.
ところで,クリトリスに直接触って刺激することによって,女においては性的な快感を得るための引き金になるという性感センサ説は,米国において1960年に「マスターズ報告」として公表されてから後のことであるらしい.この報告が公表されてから5年が過ぎてから,ようやく世間一般にもクリトリスという性感センサを刺激する行為が広く知れ渡り,太平洋を4発レシプロ・エンジンを装備したプロペラ旅客機に搭乗して日本にも新しい性感センサとして伝わってきたらしい(あのB29を民間機に転用した旅客機).
こうして女体のクリトリスを刺激する性感を高める行為が一般にも受け入れられて,日常の性生活においても普通に行われるようになったのは,1975年ころになってからのことであるらしい.つまり日本では,女体のクリトリスという部位が認知されてその機能を知り,意図して刺激するように合体Sexが変化し始めてからようやく30年が過ぎたということである.
クリトリスという概念が広く性生活で認識されたのは1975年以降ということだから,現在70歳を越えてしまった世代の性生活においては,よほど性風俗情報に関心が高い男でなければ,クリトリスなどという言葉など知ることもなく,家庭において日本の伝統に従った性生活を営んでいたということだろう.しかしクリトリスという性感情報が存在していなかったとしても,一般家庭では夫婦の性生活は普通に営まれてきたのである.
つまり第2次大戦後の日本(連合軍との戦争で負けて,主に米国軍の占領統治から新生日本国として再スタートした戦後世代夫婦)では,男女が結婚してから新婚生活がはじまり,当時の社会的な状況では,夫婦間で性交渉に精を出して,まず後継ぎを受胎するための行為として,新婚夫婦における性生活を阻害する慣習(戦前の道徳観念を引き摺った男女平等と民主化が占領軍によって実施された)は,新しい改善された環境として提供されたのだろう.
敗戦によってかつての価値観が占領軍によって全否定されて,キリスト教的な道徳観にもとづいた民主化によって自由を得た戦後第一世代(団塊世代の父親と母親に相当する)の夫婦は,もちろん十分とはいかなくても,新婦は性的な快感を夫婦間の合体Sexによって得ていたのは事実であろう.つまり性的な興奮の高いオーガズムという面で考えると,1960年代の新婚夫婦のほうが伝統的な性交渉技術によって,現在の世代のSexにおける性的興奮レベルでは上まわっていたとも考えられる.
おそらく日本の60年代の新婚さん達は,女体のクリトリスという快感を刺激する部位の存在が一般的に認知されていなかったために,ヴァギナに性交渉の全てを集中していたことだろう.枕絵やブルーフィルムなどによる非公式な伝統風俗情報を密かに収集しながら,パートナーに対して膣の性感やGスポットなどの性感情報をいつの間にか発見して,体感会得して個別に楽しんでいたのであろう.
現在の中高生は好奇心のままに,なまじAVなどによって性情報を得て,手軽に女の快感刺激法を入手できるために,ほどほどの性的な興奮レベルに留まっているのかもしれない.このような経過から夫婦間で性的な快感を貪る努力が失われた結果として,男女間の合体Sexを夫婦間に限定することなく,金銭で性風俗を楽しみ,性生活に対する尊厳が失われて,快感を娯楽として費やし,子供を受胎するためではない合体Sexが一般的な「H」とされている.そして日本では少子化が進行している.

