日本の最南端の離島までレシプロ・エンジンの小型旅客機に乗って行って見ないか?
たぶん1泊2日の日程でもかなりの強行軍になってしまうが,日本という国の南北に伸びた細長さを実際に体験することができるのだ.
◇最北端の町:稚内へ
まず最北端に行って見よう.そう,北海道の稚内である.鉄道であれば,JRの稚内駅ということになるが,飛行機を利用すれば稚内空港まで到達することができる.関東地域からであれば,直行便に乗れば羽田空港からジェット旅客機で稚内の2000mの滑走路に着陸することになる.これが日本の最北端にある第2種空港である.
空港から直ちに,日本最北端の地の碑がある宗谷岬の先端まで行こう.
「日本最北端の地」を示す標す碑は,北緯45度31分22秒にある.念のためGPSを用意して確認してみるのもいいだろう.
北極星の一稜をモチーフにして,中央には北を示す「N」,台座の円形は「平和と強調」を表わしているそうだ.海に向かってこの地に立つと,前にオホーツク海,正面に43km先のサハリンの島影が微かに見えるかどうかは,天候次第(日ごろの心がけ次第ともいえるが)ということだ.
日本の最北端であることを実際に体感すればいいだろう(緯度,経度についてこれまでの日本測地系から世界測地系に基準が変わっているから秒数が過去の書物とは表記が異なっているかも.できれば最新の理科年表で数値を確認しておくとよい).念のために東経は141度56分11秒である.なんといってもGPSでリアルタイムに確認して精度チェックできればいいのだが...
数値に関係なく,最北端であることは,周囲の景色とアナログ・コンパスでも十分気分は味わえるだろう.
あとは,北にいる環境要素と眺めをなんとなく意識して,食事して街中を歩き回ってみる程度の時間しか残ってない.
さびしく,単独で北の旅情を味わう行動というのもいいのだが.....
かつては,利尻島,礼文島まで飛行機が飛んでいたのだが,廃止されてしまった.どちらの島にもフェリーを利用すれば行くことは可能だが,時間的に余裕がないので今回の旅では無視する.
さて次には,日本の南の端へ移動するプロセスになるのだが,民間人だから通常の交通機関で移動しなければならない.
まず,午後4時40分に稚内を離陸して,千歳空港に5時30分につき,羽田行きに乗り換えて,午後7時に東京に着いていなくてはならない.この部分はJALとANAの時刻表による.エア・ドウやスカイマークでも利用可能なら構わないが....
さらに羽田で沖縄までの飛行機に乗り換えて午後8時に出発すれば,那覇空港に到着するのは午後10時30分になるだろう.これで第1日目の日程は完了である.
◇第2日目は最南端の離島へ
沖縄本島を午前8時に出発すれば,午前9時5分前に石垣島に到着する.
石垣島空港で9人乗りの双発プロペラ旅客機(BN-2Bアイランダー)に乗り換えて,波照間島まで飛んで行くのだ.
これが最南端への旅の真打ちともいうべき,乗り物になる.いまどき,レシプロ・エンジンの飛行機に乗るとすれば,この路線しかないだろう.
(イヤイヤ,調布飛行場に行けば,大島や新島に新中央航空がアイランダーを運航しているのだが......
また長崎空港まで行けば,オリエンタル・エア・ブリッジが離島を結ぶ路線(長崎〜上五島,長崎〜小値賀)に3機で運航している)
石垣空港では琉球エアーコミュター(日本トランスオーシャン航空系列)がブリテン・ノーマン・アイランダーBN-2B-26を運航している.まず乗客は荷物となって体重を測定しておかなければならない.重心位置の関係で運が良ければ,パイロットの隣の席に座ることができるかもしれない.その確率は1/9(ただし平均体重の場合).
こうして双発のプロペラ旅客機が石垣空港を午前9時30分に飛び立つと,波照間島には9時55分に到着する.
波照間空港は第3種空港で,滑走路は800mの長さしかない.これでも離着陸性能に優れたDHC-6ツイン・オッターなら19人を運べたのだが,空席率を考えて定員が半分となる小型機に変更されたのだ.
なにしろ民間航空路線だから,もしかするとちかじか廃止されるかもしれない赤字の離島路線ということだ.
ここで波照間島の位置を確認しておくと,東京から南西に約2200km,那覇からは約500kmほどの距離にある.地理的には八重山諸島の中の1つの島で,行政上は沖縄県八重山郡竹富町になる.この竹富町には,多数の離島で構成されているが,主な島は,竹富島,西表島,小浜島,黒島,そして波照間島などとなる.名前から言えば,竹富町の中心は竹富島と考えるのが普通なのだが,竹富町の町役場は竹富島にはなく,石垣島にあるのだ.
八重山諸島の中心は石垣島で,交通手段(船,飛行機)も,すべてが石垣島を中心に運航されており,各島への起点はすべて石垣港(空港)となっている.
つぎは波照間島だが,「波照間」という地名は,「果てのうるま」から来ていて,「うるま」とは,珊瑚礁のことらしい.「最果ての珊瑚礁の島」という意味のようだが,なによりも「日本最南端の島」ということに価値があるのだ.そのためにやってきたのだから.しかし正確に言えば,波照間島は「日本最南端の人が住む島」で,人が住んでいる島の中で日本で最も南に位置する島ということになる.座標系としては,北緯24度2分,東経123度47分に位置している.無人島を含めた日本領土の最南端の地は,東京都小笠原村の「沖の鳥島(岩に近いコンクリートの塊)」になる.
波照間島は,石垣島から南西に約60kmの位置にあり,大きさが約12.5平方km,周囲が14.8kmほどの小さな島で,600人ほどの人が暮らしている.山もなく,川もなく,平坦な島で,さとうきびの栽培が中心の島であるらしい.
さて目的とする日本最南端の碑は,集落から自転車で15分程のところにある.周辺は景勝地になっていて,高那崎という断崖絶壁や祖国復帰記念の碑,日本各県から取り寄せた石で造られた,蛇の道というモニュメントがある.
これでようやく最南端に到達したことになる.あとは波照間島に1泊するのもいいだろう.さて船で石垣島にもどるか.飛行機を利用してもいいだろう.どちらにしても1日に数便しかないから運航時刻の確認をしていないと,すぐ1日が過ぎてしまうのだから.
あとは出発地に戻れば,南北端の旅はこれで終了となる.
飛行機という一番高速な手段を利用して移動しても1泊2日はかかってしまうのだ.
これで南北に長い日本国の広さを体験できただろうか?
この航程は,関東地域から出発することを想定しているが,関西空港や中部空港からも稚内行きが出ている.

